2017/08/01

 

連載インタビュー「100人×100色=マジック」 第3回: 下河辺 行洋(宮城、プレイヤー)

 

by 伊藤 大暉

 

 

 

 

日本各地に存在するマジック:ザ・ギャザリングのコミュニティ。

 

本コラムでは、競技プレイヤーとしてマジックに臨む方からジャッジとして屋台骨を支えてくれる方々まで、ご自身のマジック観やご当地マジック事情について毎回一名のゲストと対談を行いインタビュー記事を連載していきます。

 

第3回は、宮城にて仕事の傍らマジックに勤しむ"下河辺 行洋"さんにお話を伺いました。

対談はマジック強豪国としても名高いチェコ共和国出身のオーナー・ルミールさんが経営するビアバー”チェスコ屋/Českoya” さんの提供でお送り致します。

 

インタビュアーは当店スタッフ 小山内です。

 

 

 

 

下河辺 行洋(シモコウベ ユキヒロ)

 

 

 

 
宮城で公務員をしつつ、家庭とマジックの両方を愛するプレイヤー。

2016年にウィザーズ本社で開催されたスーパーサンデーシリーズに出場し、3位に輝いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

・マジックとの出会い


小山内:どのエキスパンションから始めたのかってのは覚えてる?

 

下河辺(敬称略):98年頃に大学の将棋部にいた頃・・・ウルザのあたりかな。同級生にヒロ君(※1)とかがいて教わりながら始めた気がする。

 

 

※1:渡辺仁人氏。アジア太平洋選手権00 2位。

 

 

小山内:MOMAが悪さしてた時代か。

 

下河辺:そう、初心者の自分には土地を1,2枚置くだけで100枚引かされるようなゲームはキツかったから、最初は人数合わせ程度だったね。それにマジックに精通してた彼らはどのカードも4枚ずつ持ってて当たり前のようなのめり具合だったから、マジックのハードルはかなり高く感じた(笑)

 

小山内:今よりカードも安かったし、そうなってしまうのも仕方ないね。

 

下河辺:マジックを触り始めてからトーナメントに出るまで3年くらいかかったね。ずっと部室で遊んでた。ローテーションでアポカリプスが出てからは自分のデッキを作るようになった。

 

小山内:初めてトーナメント大会に出たのはいつ?

 

下河辺:2000年頃の市民センターの大会だったかな。緑黒白のレアをとにかくぶち込んだジャンク。

 

小山内:あの辺のレアはとにかく性能がおかしかったなー。

 

下河辺:幽体オオヤマネコ、名誉回復、魂売りって感じで強いカードを詰め込んでいくとマナカーブも自然によくなるというね。

 

小山内:下河辺は今でこそリミテッド専って感じだけど、スタンダードが主だった当時はどうやってリミテッドを始めるようになったか覚えてる?

 

下河辺:当時は市民センターでもサイドイベントでブードラがやってたけど、上手い人ばかりが集まっていたから初心者が入ってはいけないようなイメージを描いてしまってハードルは高く感じたね。それでも人が沢山集まってみんな楽しそうだったから自然と自分も混ざるようになってた。

 

小山内:シールドはどう始めていった?


下河辺:マジックを取り扱う店が増えたことでプレリの回数も増えたから、そのおかげでシールドもやるようになったね。社会人になってから構築をする時間が少なくなって、即席でデッキを作れるリミテッドをより遊ぶようになっていった感じ。

 

小山内:なるほど。社会人になって家庭も出来てからはマジックとのバランスをとるのも難しそうになったと思うけど、そこらへんの折り合いはどうしてる?

 

下河辺:まあ家内も趣味として肯定しているので、趣味として続けられてはいるね。

 

小山内:なるほど。そういったバランスの難しさの下でマジックから離れようと思ったときはあったりした?

 

下河辺:なかったな。スタンを小休止するとかはあったけど。

 

 

 

 

 


・現代のマジック


小山内:これは毎回聞いているんだけど、東北のマジック環境は恵まれてると思う?

 

下河辺:まあ、仙台は恵まれている方だよね。お店は増えたし、宮城以外の県から仙台の競技大会へ遠征する人は多数いるけど逆は少ない。東北全体だとやっぱり関東とかには敵わないけど。

 

小山内:確かに。最近だとたまやさん(※)でプレミアイベントを開いてくれてるのが追い風ではあるね。The Finalsも復活するから競技志向な店舗予選も増えるだろうけど、いざ開くとなると人数が集まるか不安だったりとハードルはやっぱり高めか。

 

 

※2:岩手県のMtGショップ『駄菓子のたまや』。(参考

 

 

下河辺:それで採算が取れないと以後開かれなくなるってこともあるしね。

 

小山内:難しい問題だね。

 

下河辺:他には……留学生とか海外の人が日本でプレイできる土壌がもっとあるといいかな。プレリとかは全部日本語のパックじゃん?あれ他言語での用意も出来るようになればいいと思うよ。

 

小山内:問屋の問題で難しいんだよね。ただ今回(破滅の刻)から他言語のBOXは仕入れられるようになったから、今後の動向に期待といったところだね。

 

下河辺:なるほど。

 

 

 

 

 

 


・SSS


小山内:実績であるSSS(※3)の予選はどこのGPで抜けたんだっけ?

 

 

※3:スーパーサンデーシリーズ。WotC本社で開催される大会。旅費や宿泊費は全て支給され、グランプリのサイドイベントで行われる予選の優勝者が招待される。

 

 

下河辺:モダマスシールドだったGP千葉だね。本戦も出たんだけど普通に初日落ち。構築時にちょっとした事件もあったんだよね。

 

小山内:それはどんな?

 

下河辺:デッキ構築時間が残り10分ってところで、パックチェックをしてくれた人が1パック見落としていたことが分かって。

 

小山内:うわー、それは災難だったね。

 

下河辺:まあ総枚数を数えなかった自分も悪かったしね。おかげでSSSにも出れたし(笑)

 

小山内:まあ終わりよければ全てよしということで。出場したSSS予選のフォーマットはリミテッドだったよね。

 

下河辺:そう。スタンとリミテの両方からTOP4が合流する大会で、決勝も得意なドラフトだったから良かった。

 

小山内:下河辺向きな形式だなあと思ったよ。SSS本戦はどういう流れだった?

 

下河辺:シアトル着いたら空港からホテルまで送迎バスが出てて、そのホテルのすぐ隣がウィザーズ本社だった。

 

 

 

 

 

小山内:そんなに近いんだ。

 

下河辺:本当に近かった。初日は本社でピザ食いながらドラフトしてたなあ。ドラフトセットから好きなようにパックを使って自由にやることができた。

 

小山内:噂のピザドラフトとは羨ましい(笑)

 

下河辺:サービスも良かったね。

 

小山内:確か本社見学もしたんだよね。

 

下河辺:そうそう。2日目の本戦前に本社見学をした。D&Dの筐体もあったから久々に触った!

 

 

 

↑ 下河辺さんが現地で撮影したウィザーズ本社の一角。レトロ感満載のD&D筐体がいまも現役で稼働している。

 

 

小山内:印象に残った試合とかはあった?

 

下河辺:決勝ラウンドでSam Black(※4)に負けたんだけど、ものすごい茶番だった。自分が《巡礼者の目》と土地2枚でキープしたら延々と土地を引かなくて、相手は相手で《壌土の幼生》をプレイして「土地は探しません」と言った後も延々と土地を置き続けるという。その間ずっとその1/3に殴られ続けて……やっと土地を引いたと思ったら相手もスペルを引き始めて負けちゃったんだよね(笑)

 

 

※4:アメリカのプロプレイヤー。Team UltraPRO所属。

 

 

小山内:それは悔しかったね。

 

下河辺:まあドラフトだしそういうこともある。とにかく結果は良くて賞金も出たし、構築も楽しかったからスタンダードへ復帰するきっかけにもなったしでとても充実したイベントだった。

 

小山内:それは本当に良かったな。

 

下河辺:また参加したい!

 

小山内:もう無い (※5)んだよなあ……(笑)

 

 

※5:2017年を持ってスーパーサンデーシリーズは廃止されてしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 以下、今回対談場所としてお世話になったチェスコ屋さんの店内・チェコ製生ビールなど!!

 

 

 トマシーク・ルミール チェスコ屋/Českoya

 

 

 

 

チェコ出身のオーナー・ルミールさんが営む、常連客から根強い人気を集めるビアバー。

仕事帰りにフラッと通える気軽さで常連客も多く、幅広い年代・国籍の客層に親しまれる国際色豊かなお店。

趣味の登山をきっかけにお店を知った下河辺さんは、通いはじめてはや5年以上とのこと。

お店の詳細はHP(http://www.ceskoya.com/)をチェック!

 

 

 

 

 

チェスコ屋さんは仙台の飲み屋が密集する国分町とは中心部をまたいで反対側、東北大学片平キャンパスにもほど近い一番町に立地している。留学生たちが盛んに訪れつつ、騒がし過ぎない適度に穏やかな店内の空気感が、何度も訪れたくなるポイントかもしれない。

 

 

 

 

店内はチェコの国旗をはじめ、さまざまなアイテムで彩られている。自然とバイクを愛するルミールさんの遊び心が随所に垣間見れて、訪れるたびに小さな発見がある。

 

 

 

 

チェコから取り寄せられた見慣れない銘柄の各種瓶ビールも魅力的ながら、やはりオーナー・ルミールさんが毎日準備しているチェコの生ビールがお店の一番人気だ。

 

 

 

 

生ビールは、チェコのボヘミア西部都市ピルゼンで1842年から生産されているというピルスナー・ウルケルだ。

泡量の違いで3種類の飲み方があり、泡の多い順からそれぞれミルコ・シュミット・ハラディンカという。

写真は最も一般的な飲み方のハラディンカ。泡量の一番多いミルコに至っては殆ど泡のみのビールとなる。

 

 

 

 

酒のつまみのソーセージはもちろん、タイミング次第だが自家製煮込みチキンも味わえる。

料理作りに当たっては添加物を一切使わないのがルミールさんのポリシー。

 

 

 

 

 

チェスコ屋さん の場所・営業時間は下記の通り!!

 

水曜日
  • 18時00分~3時00分
木曜日
  • 18時00分~3時00分
金曜日
 
  • 18時00分~4時00分
 
土曜日
  • 18時00分~4時00分
日曜日
  • 18時00分~0時00分
月曜日
  • 定休日
火曜日
  • 18時00分~3時00分