2017/06/09

 

連載インタビュー「100人×100色=マジック」 特別編: 駄菓子のたまや(カードショップ)

 

by 阿部 裕樹

 

 

 

 

日本各地に存在するマジック:ザ・ギャザリングのコミュニティ。

 

本コラムでは、競技プレイヤーとしてマジックに臨む方からジャッジとして屋台骨を支えてくれる方々まで、ご自身のマジック観やご当地マジック事情について毎回一名のゲストと対談を行いインタビュー記事を連載していきます。

 

第2回コラムから派生的に生まれた本特別編コラムでは、岩手県雫石市でマジック専門カードショップを営むたまやさんの特異な存在感を放つ店舗模様紹介に始まり、オーナー石井さんに語っていただいた東北マジック環境の今とこれからについてを記します。

 

 

 

 

石井 浩一 (イシイ コウイチ)

 

 

 
「あんたは何屋さん?仕事してんだか趣味してるんだか良くわかんないね~!」と皆さんに言われております。
住んでいる「雫石」は岩手山の麓に位置し奥羽山脈の雄大な自然に恵まれ、かの宮沢賢治が理想郷、イーハトーブと謳った郷土です。
東北、岩手県雫石町を中心に色々な事に手を出し足を運んでおります。
 
(駄菓子のたまや公式HPより引用:http://www.tamaya01.com/about.html)
(代表石井さんのtwitterアカウント:@tamayapapa

 

 

 

 

 

雫石(岩手県)へ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

二回目対談で岩手のLV2ジャッジ佐々木さんにお話を伺うことが決まったとき、私には個人的に実現させたい展望があった。

 

 

各人別様のスタイルでマジックに関わる方々にインタビューを行い、その人ならではの歴史と地域性にスポットライトを当てたいのであれば、取材は極力現地で行うのが望ましい。

 

 

そして佐々木さんの本拠地である岩手県雫石市は、東北の競技マジックユーザーなら誰もが知る有名ショップ『たまや』さんの本拠地でもあるのだ。

 

 

『たまや』さんは、東北で唯一Wizards公認オープン大会『ポーラスターオープン』を主催しており、東北全体のマジック環境に対する影響力は計り知れない。

 

 

東北競技マジックを支えジャッジの佐々木さんへのインタビューと同時に、まだ面識もないオーナー石井様とお話する機会が持てないだろうか…。 そんな期待を胸に話を持ちかけたところ、オーナー石井様から快い返事を頂くことが出来た。

 

 

『たまや』の皆さんは気さくで親切な方々と既に耳にしてはいたが、急のお願いに身軽に応じてくれたことに感謝の念を抱くとともに、より強く興味を惹かれた。

 

 

仙台から雫石まで、高速道路を経由しておよそ3時間弱。隣県とは言え決して短くない道のりだが、LV2ジャッジ佐々木さんは仙台で担当PPTQが開催されるたび、この道程を往復している。

 

 

高速道路を降りて市街地も過ぎ、田園風景が続く田舎道をしばし進んだ頃、目指していた『たまや』が見えてきた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

分類不可能?カードショップ『たまや』到着

 

 

 

小山内:あ…見えてきましたね。向こうに見える青い看板のある建物がたまやさんです。

 

 

阿部:駐車場は…っと。

 

 

小山内:建物向かいの雑木林の内側に、広い駐車スペースがあるんですよ。

 

 

なるほど、確かに急に途切れた田んぼの先に背高い雑木林に覆われたゾーンがあり、そこが駐車スペースになっていた。

 

 

阿部:この田園地帯に…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

阿部:悠々と構えるこのお店が…たまや!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

お店に入ると、すぐに賑やかな店内内装に目を奪われる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれ…? 私はカードショップに取材に来たはずだが…。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

うん、間違いない。

 

 

石井さん(以下敬称略):そのタペストリーは、うちのお店がポーラスターオープンを開催するにあたってWizards本社と調整して作ったものですね。

 

 

店の奥から石井さんが声をかけてくれた。

 

 

阿部:今日はお世話になります。言葉でうまく表現できないですが…半端なく神々しい存在感のタペストリーですね。

 

 

石井:シアトル現地の人と何度も調整を重ねて作り上げたものなんだ。さ、立ち話も何だからテーブルへどうぞ。

 

 

さらに奥に鎮座する基本セット2015版ガラクのタペストリーともども、オフィシャルライセンスで大型タペストリーを製作した経緯を石井さんは話して聞かせてくれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

たまやままさん(石井さんの奥様で、お客さんには『たまやまま』の愛称で親しまれている。以下表記はままさんに):いらっしゃいませ。

 

 

阿部:お邪魔してます。たまやさんは料理も提供されてると聞いたのですが…。

 

 

ままさん:丼ものでしたらすぐに準備できますよ! ちょっと待っててくださいね。

 

 

阿部:ありがとうございます。お願いしたいです。

 

 

実際、ろくに朝食も取らずここまで走らせてきた我々は対談に向けて腹具合が心配になっていた。

 

 

石井:二階がMTGの販売・プレイスペースになってます。こちらです。

 

 

石井さんの後に続き階段を上ると、そこには密度120%のマジック空間が広がっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

阿部:なんだかとても懐かしい景色です。昔は仙台にも黎明期から続くカードショップがたくさんあったんですが、今は殆どなくなってしまって。

 

 

石井:私自身が黎明期からプレイヤーとしてマジックに親しんできましたからね。この通路横に対戦テーブルがあって、奥のフィーチャーマッチエリアを軸にL字状にプレイエリアが続いています。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

阿部:こちらが自作されたというフィーチャーマッチエリアですね。奥に鎮座するギセラタペストリーと相まって、特別な試合が行われる空気感がひしひし伝わってきます。

 

 

石井:タペストリーは一階のものと時期ごとに入れ替えたりするんですよ。エリア左手側にはジャッジステーションもあります。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

阿部:ジャッジが常にプレイスペースの中央に居ることで、無理なく全体を見渡せる間取りになってるんですね。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

石井:はい、このお店にはそういう細やかな工夫が至るところにありますよ。

 

 

遠征時も無料で使える大型コインロッカー、カードを扱うお店としてキャップ付きドリンクに限定した自販機、深夜プレリで疲れたプレイヤーがすぐ仮眠できる畳部屋など、文章量の都合で全てはお伝えできない魅力的な工夫の数々を沢山聞かせていただいた。

 

 

石井:私自身がいちマジックプレイヤーとして、一番理想的だと思える環境を追求してきました。次に欲しいのはシャワールームなんですが…。

 

 

阿部:それを準備しちゃうと、冗談じゃなくここに住んじゃうお客様が出てきそうです 笑。

 

 

石井:はい 笑。なので早いところ「居住禁止」の張り紙を貼っておかないとまずいですね 笑。

 

 

ままさん:お待たせしました。こちら焼き鳥丼です。

 

 

阿部:ご馳走になります。

 

 

たまやままさんに頂いた焼き鳥丼は、具沢山アツアツでとても美味しかった。 空腹に負けて完全に写真を撮り忘れたしまったのが残念である。

 

 

その後間もなく今回の対談ゲストである佐々木さんがたまやに到着、お土産にと、いかせんべいを頂いてしまった。

 

 

対談も順調に進行・終了し、そろそろ御暇する頃合かもなと思ったとき、石井さんにフィーチャーエリアのテーブル席にお誘い頂いた。

 

 

石井:少しこれからの東北マジックについてお話しましょう。

 

 

石井さんは現在の東北マジック環境を憂慮されていた。

 

 

石井:とにかく規模の大きい大会イベント開催数が他の地域と比べて圧倒的に少ないですよね。震災の影響を無視できないことも事実ですが、現状ペースのまま東北にいるプレイヤーの競技熱を満たし維持していくことは、とてもじゃないが難しいと感じています。

 

 

たしかに、東北以北の地域で行われた大規模競技イベントはGP仙台2010が最後で、実に7年に渡り大規模競技イベントの空白状態が現在進行系で続いていることになる。

 

 

石井:また東北の地でグランプリが開催されれば理想的ですが、現状を鑑みるとそれを待っていては遅すぎるかもしれない。逆に自分たちで行動することで、プレイヤーの皆様に魅力的な大規模競技イベントを提供していきたい。

 

 

阿部:その意味では、現在東北で唯一開催されているWizards公認オープンである『ポーラスターオープン』はまさに希望の星ですね。

 

 

『ポーラスターオープン』は競技ユーザーにとって貴重な、PWPポイント倍率4倍の数少ない機会の一つだ。

 

 

石井:そうですね。そこでまだ多くのことを語ることは出来ませんが、『ポーラスターオープン』とも繋がる展望を現在いくつか検討しています。

 

 

石井:一つには、東北の各ショップが協力し合い、提携型の大会イベントを連続的に開催出来たら…と考えております。

 

 

石井:例えばスタンプラリーのように、あるお店の大会イベントに参加した方が、次に控える提携他店舗の大会に参加すると優遇を得られる。或いは提携イベント全体で累計するポイントを大会イベント毎プレイヤーに付与して、それを『ポーラスターオープン』のBYE獲得などに繋げる。

 

 

阿部:最近『晴れる屋』さんがプロツアーを疑似体験できる機会として『環境名人戦』の開催を発表しましたが、この場合はグランプリの遠征巡礼を疑似体験出来る機会とも言えそうですね。

 

 

確かに、プロツアー参加以前にGP遠征自体が殆ど根付いていない東北マジック環境では、より大きな機会のために各地を廻って試合を重ねる遠征気分を味わえる、グランプリの疑似体験の方がニーズに即していると言えそうだ。

 

 

石井:また『ポーラスターオープン』は関東圏の方々からも多数遠征頂いているイベントなので、今後そちらの需要に大きく応えられる開催地についても吟味を重ねています。

 

 

阿部:それはもしかして、『ポーラスターオープン』in仙台ですか??

 

 

石井:そうです。東北は土地柄冬期のイベント開催に慎重になる必要がありますし、すぐにとは分かりませんが現在前向きに検討しています。

 

 

阿部:もし『ポーラスターオープン』が仙台で開催されることになったら、仙台民としては嬉しい限りですね。私も地元民として可能な限りの協力をさせて頂きますよ…!!

 

 

石井:よろしくお願いします。

 

 

気づけば、石井さんとお話を始めてから本編対談と同じくらいの時間が経過していた。

 

 

それは石井さんの東北マジック環境発展に掛ける情熱が、時間を忘れさせるほどに真摯で力のこもったものであったからに他ならない。

 

 

 

 

 

 

 

 

写真左から、佐々木さん、石井さん夫婦の息子さん(LV1ジャッジ) 、石井さん、たまやままさん

 

 

 

 

 

 

告知!!

 

 

POLAR STAR Open 2017 Summer  2017年8月11日(金)開催!!


PWPポイント倍率4倍の貴重な公認イベント!

 

 

 

 【フォーマット】 スタンダード

【定員】 128名

【開場時間】 8:30~22:00

【会場】 岩手県産業会館7階大ホール

住所:〒020-0022 岩手県盛岡市大通1丁目2番1号

http://www.sanbiru.or.jp/access.html

【Web事前受付】 Web受付は2500円になります。

詳細はリンク先をチェック!!