スタンダードTips 第三回

 

 みなさん、こんにちは!シングルスターでジャッジをしているレベル1の島村です。

 マジックオリジンのフルスポイラーが公開されて、新しいデッキを作る人、既存のデッキを強化する人、高騰・暴落しそうなカードを探す人、それぞれだと思います。

 ジャッジからしてみると、『基本セット』という扱いのはずなのに変身するプレインズウォーカーなど、難しいカードが多いなぁ、という印象です。

 なので、今回はマジックオリジンのややこしいカードたちについて解説していきたいと思います。

 量が多くなっていますので、自分の気になるカードから見ていくのもいいかもしれません。

 

 

アクロスの英雄、キテオン/歴戦の戦士、ギデオン

 

 

 

  • 《死に微笑むもの、アリーシャ》と他のクリーチャー1体が攻撃して、アリーシャの効果で《アクロスの英雄、キテオン》が攻撃している状態で戦場に出てもキテオンは変身しません。
  • 《アクロスの英雄、キテオン》《オレスコスの王、ブリマーズ》の2体が攻撃した場合、攻撃しているトークンが出ることによって攻撃クリーチャーが3体になりますが、こちらもキテオンは変身しません。

 

 「キテオンと2体以上のクリーチャーで攻撃してるじゃん!」と思う人もいると思いますが、総合ルール508.4に、

 

 

クリーチャーが攻撃している状態で戦場に出る場合、そのコントローラーは、そのクリーチャーが戦場に出るに際してどの防御プレイヤーあるいは防御プレイヤーがコントロールするどのプレインズウォーカーを攻撃するのかを(戦場に出した効果が特定していない限り)選択する。それらのクリーチャーは「攻撃している」が、誘発イベントや効果に関しては「攻撃した」ものとしては扱わない。

 

 

とあるので、攻撃していたとは、そのクリーチャーが『攻撃クリーチャー指定ステップで攻撃クリーチャーとして指定されていた』、ということを指すのです。

なので、攻撃している状態で戦場に出るクリーチャーは攻撃クリーチャーではあるのですが、『攻撃クリーチャー指定ステップで攻撃クリーチャーとして指定されてはいない』ので、攻撃していたクリーチャーとしては数えられないのです。

分かりづらいことこの上ないですが、モダンの《風立ての高地》などでも見られる条件なので、注意しましょう。

 

  • 《アクロスの英雄、キテオン》が自身の起動型能力によって「破壊不能」を持っていたとしても、変身して戦場に戻ってきた《歴戦の戦士、ギデオン》《アクロスの英雄、キテオン》とは別のパーマネントとして扱われるので「破壊不能」は持っていません。
  • 《アクロスの英雄、キテオン》が変身するのは戦闘終了ステップ、忠誠度能力が起動できるのはメインフェイズなので、キテオンが変身した直後の優先権で《稲妻の一撃》を撃たれ、ダメージを《歴戦の戦士、ギデオン》に移し替えられてしまうとギデオンはその+能力を起動する間もなく墓地へ置かれてしまいます。
  • 相手がアンタップ状態の《徴税の大天使》をコントロールしている状態で《歴戦の戦士、ギデオン》の+2能力を使用した場合、攻撃するために必要なコストの支払いは強制されないので「攻撃しない」ことを選択できます。
  • しかし、《結束した構築物》のような「単独で攻撃できない」クリーチャーを対象とされた場合は、他に攻撃可能なクリーチャーがいるならばそのクリーチャーとともに攻撃しなければなりません。この場合、ギデオンの能力の対象になったクリーチャーはギデオンを攻撃する必要がありますが、条件を満たすために攻撃した他のクリーチャーはプレイヤーや他のプレインズウォーカーを攻撃できます。

 

  • クリーチャー化した《歴戦の戦士、ギデオン》は「破壊不能」かつ「与えられるダメージをすべて軽減」のため無敵に思えますが、そんな彼にも弱点はあります。

 それは追放除去と《乱撃斬》の「獰猛」能力です。

 普段活用されることの少ない「軽減できない」能力ですが、これがあるとギデオンは受けるダメージを軽減することができなくなります。 たとえ致死ダメージを受けたとしてもギデオンは「破壊不能」を持つため破壊されることはありません。

 しかし、「クリーチャー」でも「プレインズウォーカー」でもあるギデオンにダメージが与えられる場合、通常のクリーチャーと同じようにダメージが与えられるのと同時に”ダメージの値に等しい数の忠誠度カウンターが取り除かれ”ます。これによってギデオンの忠誠度カウンターが0になってしまった場合、状況起因処理によりギデオンは墓地に置かれてしまいます。

 (ちなみに、同じくクリーチャー化する《龍語りのサルカン》はプレインズウォーカーで無くなるため、このようなことは起こりません。なぜ同じ処理にしなかった

 

 

 

《ニクスの星原》

 

 

  • 公式の記事でも「少し特殊な挙動を示す」と言われたテーロスの『神』と《ニクスの星原》の相互作用について、ここでもおさらいしておきましょう。
  • 以下、戦場に《ニクスの星原》と神カードがある時の各状況における神の状態についてです。

 ☆信心が足りていない&エンチャントが4つ以下の場合
  ・クリーチャーではない


 ☆信心が足りている&エンチャントが4つ以下の場合
  ・右下に書かれたパワーとタフネスを持つクリーチャーになる


 ☆信心が足りていない&エンチャントが5つ以上の場合

  ・《ニクスの星原》が先に戦場に出た→クリーチャーではない

  ・『神』が先に戦場に出た→点数で見たマナコストに等しいパワーとタフネスを持つクリーチャーになる


 ☆信心が足りている&エンチャントが5つ以上の場合
  ・点数で見たマナコストに等しいパワーとタフネスを持つクリーチャーになる


 信心が足りていない&エンチャントが5つ以上、の場合以外の挙動は同じなので、ここを特に気をつけて憶えましょう。

  • エンチャントが5枚以上ある場合でも、予示されたエンチャントを表向きにすることは出来ません。

  • 墓地にあるオーラを戦場に出す場合は、適正なエンチャント先を選び、それにつけた状態で戦場に戻します。このとき、対象は取らないので「英雄的」能力は誘発しませんし、対戦相手の「呪禁」をもったカードにもエンチャントすることができます。

 ただし、プロテクションには「それにエンチャントされない」という能力があるので、《嵐の息吹のドラゴン》《平和な心》をエンチャントすることは出来ません。

    •  オーラを戦場に戻すときは、その墓地のオーラを対象に取りますが、戻したあとにエンチャントする先については解決時に選ぶので、エンチャントされるクリーチャーを聞いてから《神々の思し召し》などでエンチャントされることを防ぐのは不可能です。

 

 

 

《一日のやり直し》

 

 

 

  • 『ターンを終了する』とは、簡単に言うと、「この後に起こる諸々のことをすっとばしてクリンナップ・ステップに行く」ということです。

☆『ターンを終了する』でも起こること

  ・手札の上限枚数を超えていた場合のディスカード
  ・クリーチャーの受けていたダメージの回復
  ・「ターン終了時まで」と書かれた能力の終了


☆『ターンを終了する』と起こらなくなること

・「疾駆」能力や《囁き森の精霊》の予示能力のような『終了ステップの開始時に』と書かれた誘発型能力

・ただし、『次の終了ステップの開始時に』と書かれた能力は何もなければ対戦相手のターン終了時に誘発します。例えば「疾駆」クリーチャーは対戦相手のターン終了時に手札に戻ることになります。

  • 『ターンを終了する』のは《一日のやり直し》を自分のターンに唱えた場合のみです。例えば、《生ける伝承》の誘発型能力などで相手のターンにこれを唱えた場合はターンは終了しません。

 

 

 

ヴリンの神童、ジェイス/束縛なきテレパス、ジェイス

 

 

 

  • 《ヴリンの神童、ジェイス》の起動型能力を起動し、カードを捨てた後に墓地のカードが5枚以上だった場合にのみジェイスは変身します。墓地が5枚以上あるときに戦場に出たからといってすぐに変身したりはしません。
  • 《束縛なきテレパス、ジェイス》の-3能力で墓地の「インスタント」や「ソーサリー」を唱える場合、そのマナコストは支払う必要があります。また、「探査」能力で支払うマナを少なくすることは出来ますが、その呪文カード自身を追放することは出来ません。

 「反復」能力は手札から唱えた場合のみなので、墓地から唱えられた場合は、もう一度唱えることは出来ません。

 

 

 

 

 

《エレボスのタイタン》

 

 

 

  • 「破壊不能」を持っている《エレボスのタイタン》が致死ダメージを受けている状態で、対戦相手がクリーチャーをコントロールした場合、《エレボスのタイタン》は「破壊不能」を失うので死亡してしまいます。スタックで除去を撃つなどで《エレボスのタイタン》を守ることは出来ません。
  • 「対戦相手の墓地からクリーチャー・カードが1枚離れる」とは、

 ・相手が墓地からクリーチャー・カードを手札に戻した
 ・相手の《灰雲のフェニックス》《死霧の猛禽》が墓地から戦場に戻った
 ・相手が「探査」呪文で自分のクリーチャー・カードを追放した
 などのことを言います。

 

 

 

 

異端の癒し手、リリアナ/反抗する屍術師、リリアナ

 

 

 

  • 戦闘によって《異端の癒し手、リリアナ》と他のクリーチャーが同時に死亡した場合、リリアナは変身できません。(墓地に移動したリリアナは戦場にいたものとは異なるオブジェクトとして扱われるため)
  • 《反抗する屍術師、リリアナ》の+2能力を起動した場合、起動したプレイヤーが捨てる手札を選んでから対戦相手が捨てる手札を選びます。ただし、選ばれたカードは非公開情報のため相手が捨てるカードを確認してから捨てるカードを選ぶことは出来ません。

 

 

 

カラデシュの火、チャンドラ/燃え盛る炎、チャンドラ

 

 

 

 

 

  • 《カラデシュの火、チャンドラ》が変身するのは自身の起動型能力の解決時のみです。例えば、チャンドラが3点以上の戦闘ダメージを与えたとしてもそれだけでは変身しません。

 変身の条件の「3点以上のダメージ」は《カラデシュの火、チャンドラ》が発生源であればプレイヤーに与えたものでも、クリーチャーに与えたものでも、その合計でも問題ありません。

    • 《チャンドラの灯の目覚め》でチャンドラを対象にした場合、ダメージの発生源はチャンドラになります。
  • 《燃え盛る炎、チャンドラ》の-7能力によって与えられる紋章は、6点のダメージがすべて軽減された場合は与えられません。逆に1点でもダメージが与えられたならば紋章は与えられます。

 この紋章のコントローラーはダメージの与えられたプレイヤーなので、紋章からのダメージをそのプレイヤーのコントロールするプレインズウォーカーに移し替えることは出来ません。

 

 

 

アルハマレットの書庫

 

 

  • 複数枚のカードを引く効果は「カードを1枚引く」を複数回繰り返すので、引く枚数×2枚を引くことになります。

 例えば、《予言》を唱えた場合はカードを4枚引くことができます。

  • 「カン」を選択した《僧院の包囲》《アルハマレットの書庫》がある場合、ドローステップに通常のドローの後、カードを2枚引いた後、1枚捨てる』《僧院の包囲》の枚数分繰り返すことになります。

 

 

 

 

 

 

 

いかがでしたでしょうか?
この記事であなたのデッキ構築などに少しでも貢献できれば幸いです。

ではまた次回!